●検定員 中尾
3月の第2週目に入り急激な気温の上昇とともに、雪面状況が心配された検定会となりましたが、雪面硬化剤の散布などにより、緩んだ雪面状況の中でも安定した検定バーンをご提供できたのではないかと、思っております。
1級、2級を通しまして、私たち3人の検定員の共通の感想といたしましては、充分なトレーニングによる安定したスキー操作で、多くの受検生の方は合格ラインに達していたと思っております。
その中で、合格された方、また惜しくも合格を逃された方のポイントについてご説明いたします。
先ず2級です。
2級では大回り、小回りともにパラレルスタンスでのターンの構成が求められます。このパラレルスタンスの運動要素ですが、端的な表現で申し上げれば、スキーのトップ部とテール部の幅がターン構成のどの部分でも同じ幅で、かつ、両方の脚部を同時に操作することです。
このことは決して両脚が密脚状態であることを求めているのではありません。
ターンを構成していく過程で基本的な両方の骨盤の向きは、スキーのトップ方向に向けていき、切り替え時には両方の骨盤をスキーのトップ方向の少し谷側に向けておくと、スムーズなパラレルターンに繋がっていくと思います。このことが合否の判断基準の大きなポイントであたっと思います。
また、シュテムターンで感じたことですが、多くの受検生の方が、開いた脚部の方向に重心の移動が上手にされていない印象を持っております。
その結果、身体がターンの内側に倒れてしまい、シュテムターンは本来はターンスピードを抑制する技法でありながら、ターンを重ねるたびにスピードが増してしまったり、ターンサイズが大きくなってしまったように思います。
開いた脚部の方向に重心を移動し、フォールライン方向にスキーと重心を一緒に落としていくようにすると、洗練されたシュテムターンが出来上がると思います。
例えれば、パラレルターンが掛算で、シュテムターンは足算です。
パラレルターンが合格点に達していてシュテムターンが達していない方は、操作のポイントをしっかりと理解すれば、必ず合格点に達します。
続きまして1級です。
1級では2級のパラレルターンの運動要素にターンの切れ、他の表現で申し上げますとカービング要素が求められます。しかしながら、このカービング要素は決して洗練されたものではなく、まだ入門的なスキー操作とご理解いただけたらと思います。
どのようなものかと申し上げますと、両方のスキーの4つのエッジを全て使用しターンを構成するのですが、内脚外側のエッジはしっかりと角付けがされていなくとも、雪面にエッジが立っている程度で十分です。
1級のパラレルターンで最も重要なことは、ターンを構成する過程での重心移動や、外脚を中心にしっかりとスキーに力を働かせることです。これらの要素がしっかりとターンに組みこまれませんと、内スキーと外スキーの操作に時間差が生じてしまったり、スキーがバタつくようなターンとなってしまうのだと思います。
この点がターンの構成に組み込まれているかを合否の判断基準とさせていただきました。
また、春の緩んだ雪面状況下では、急な角付けや荷重はターンのバランスを崩す要因になります。
骨盤を中心にターンの軌道上にスキーを動かしていく操作は春雪では有効だと思いますので、今後のトレーニングの参考にしてみてください。
最後に、今回の検定会では、おおよそ60名の方に参加していただきました事、並びにスムーズな検定会の進行にご協力いただきましたことを感謝申し上げます。